「初恋の結末」 R18サンプル

「なんかかわいい気がしてきた」
 薄暗い部屋のベッドの上で、東堂さんがぽつりとそんなことを呟いた。そのときオレも東堂さんもほとんど裸で、一応もう春ではあるけどこうして裸になるとちょっと寒いね、なんて言いながらくっつき合ってるところだった。キスをしながら服を脱がし合ったあと、すぐにはベッドに寝かさないで身体中を触り合う。その東堂さんの手がオレのかたくなったものに触れて、そっと握りこんだときだった。
「えっ? ちょっ」
 なんのことかと思ったときには、東堂さんはもう頭を下に持っていっていた。一瞬でどういうことか理解して、とっさに止めようと手を伸ばしたときには、もう遅かった。
 たっぷり唾液の絡められた舌が先端に触れる。東堂さんが一度そこから口を離すと、だらりと先端から唾液が垂れて伝うのが見えた。電気、消さなきゃよかったかも。
「同じ男とはいっても、初めてだからな。あんまり期待してくれるなよ?」
 そんなふうに言いつつも、いつもの自信満々な笑顔だった。なんだか少しワクワクしているようにも見えた。
 垂れた唾液を塗り広げるように一度手で全体を優しく撫でてから、先をくわえる。もう、その光景だけでやばかった。舌の先でちろちろ舐められているのを感じて、思わず身体にぐっと力が入った。
 最後までできるようになる前も、ずっと手で触り合っていたから弱いところは知り尽くされてる。そこを舌全体を使って舐めまわされる。オレの息が荒くなってきたところで、いちばん弱いところを舌のざらざらした部分で何度も刺激されて、必死に他のことを考えていなかったらすぐにでもイっちゃいそうだった。
「はぁっ、東堂さん、それ、ほんとやばいからッ」
「んぅ」
 東堂さんの顎に触れてそっと押すと、不満そうな声を出して手を払いのけられた。押すって言っても、お願いするだけの軽い力だったけど、かなり気に入らなかったみたいだ。舌が離れていって一瞬ほっとしたけれど、すぐにくわえ直される。気を抜いたときにさっきよりも深くくわえこまれて、容赦なく吸い上げられた。
「あ……ッ!」
 気づいたときには、もうイってた。我慢する間もなかった。
「はぁ……東堂さん?」
「ん」
 ぜんぶ出しきってもなかなか口を離さない東堂さんに呼びかけると、何度かまばたきをしてから顔を離した。起き上がって、右手で口元を隠すように押さえるのを見てはっとする。慌ててティッシュを何枚か取って差し出したけど、受け取ってもらえなかった。
「……はじめは抵抗あっても、心底惚れれば飲めるもんだな」
 東堂さんはそう言って手を下ろした。口の端にほんの少しだけ白いものがついているのが見えて、とっさにティッシュを押しつける。
「しなくていいから!」
 ちょっと乱暴に口を拭かれて顔をしかめながらも、東堂さんは大人しかった。自分からしたこととはいえ、口に出されたのは結構衝撃だったのか、ぼんやりしてる。甘えるようにオレの腕を掴んで続きをねだる東堂さんを、口をゆすがせたくて無理やり洗面台まで連れて行った。
 口でされるのは、正直申し訳ないみたいな気持ちがあった。でもされると止める気にはなれなくて、東堂さんがこんなことまでしてくれてるってことにめちゃくちゃ興奮して、してくれるんなら、またしてほしいと思ってしまった。しなくていいって言ったけど、東堂さんはそんなオレの本心なんて丸わかりだったのか、それとも単に自分がするのを気に入ったのか、どっちかはわからないけど、それ以来ほとんど毎回、口でしてくれるようになった。
 夏も終わる頃になると、東堂さんはいっそう積極的になっていた。オレがシャワーを浴びているときに、ローションのボトルを片手に突撃してくるくらいに。
 東堂さんのところのお風呂は、オレの家より広かった。とはいってもひとり暮らし用の部屋だし、そこまでの差でもなくて、ふたりで入るとやっぱりせまい。だからほとんど一緒に入ることはなくて、今日もそのはずだったのに。
「もう……」
 壁に背を預けて、ぺたんと床に座った東堂さんを見下ろしながら呟くと、東堂さんは楽しそうににんまり笑った。東堂さん曰く、オレは今東堂さんに身体を洗ってもらってる。それはもうていねいに。実際にはもう泡はほとんどシャワーで流されてるし、さっきからずっと同じところしか触っていない東堂さんはまったく洗ってるって手つきじゃない。
 なぁんかAVみたいだなぁ、なんて考えながら目を逸らす。お風呂場は明るいし、ずっと見てたら情けないことになりそうだ。でも東堂さんに離した片手の指の腹で袋をそっと撫でられて、もう無理やりその口に突っこんでやろうかと思った。どうせ喜ぶんだから、この人は。
「も、いいよ……東堂さん立って」
「まだなんにもしてないぞ」
 そんな大嘘をついてから、東堂さんはオレのお願いを無視してとっくにかたくなっていたそこを口に含んだ。先端にちゅう、と軽く吸いついてから、深くくわえこむ。その状態で優しく吸われると、力の抜けたやわらかい舌が全体に密着して気持ちいい。
 東堂さんはこうしてオレのものをくわえるとき、目を閉じてまるでうっとりしてるような顔をする。それがオレの勘違いなのか、本当にそうなのかは、聞くのも恥ずかしくて確認はできない。わからないままだからついつい自分に都合のいいほうに傾いてしまって、余計に興奮してしまう。
 右手で根元を支えるように持って、左手は縋るみたいにオレの脚に触れて、ゆっくりと頭を前後に動かし始める。優しく吸いついたままそうされると、舌のちょっとざらついたところがオレのいちばん弱いところを擦った。でもそれは刺激としては強くなくて、ぬるぬるした感触が気持ちいいけどもどかしい。
「ん、んぅ……ふ……」
 たぶんうっかり歯が当たらないように、慎重に動いてくれていたんだと思う。初めてしてもらったときにはすぐにイっちゃったから、そうならないようにっていうのもあるかもしれない。けど東堂さんの湿った髪に触れて撫でると、まるで我慢できなくなったみたいに動きが少しだけ速くなった。
 オレのをしゃぶりながら、東堂さんもすっかりガチガチになっていて、すごく触ってあげたかった。でもさすがにそこには手が届かないから、代わりに乳首をつまんであげたらくぐもった声を上げて、もっととねだるように胸を手に寄せられた。それに応えてこねてあげると、思わずといったふうにじゅうっと強く吸われてやばかった。
「気持ちいい?」
「ん……」
 東堂さんが口を離す。入れてほしくなったのかと思ったら、膝立ちになって自分の唾液まみれのオレの先端を乳首にぐりぐりこすりつけた。
「ちょっ」
「あ、あっ、気持ちい……はぁ……」
 やばい。とんでもない光景だった。オレに反対側の乳首をつまませて、もう片手では自分で扱いて、もう、めちゃくちゃえろい。
 東堂さんは夢中で乳首にオレのをこすりつけながら、それをとろとろになった目でじっと見ていた。そのひとみと、開きっぱなしの口と荒い呼吸で東堂さんもめちゃくちゃ興奮しているのがよくわかってたまんない。このままじゃすぐにイきそうだった。
「胸にかけてほしいの?」
 そろそろ我慢できなくなってそう聞くと、東堂さんは首を振って挿れてほしい、と小声で言った。
 名残惜しげに手を離して立ち上がる。一瞬ふらついた東堂さんを抱きとめてキスをしてから、壁に手をつかせた。
 東堂さんが持ちこんだローションを出して、指の腹で窄まりを擦る。そうするとひくつくのがやらしかった。
 最近ではさすがに慣れて、こうして慣らすのもスムーズにできるようになった。はじめはオレのを挿れられるようにするだけだったけど、今ではその前に東堂さんを気持ちよくもしてあげられる。
 中指を奥まで挿れてから少し抜き出して、いつもよさそうにするところをゆっくり押すように刺激すると、東堂さんは身体を震わせて壁に頬を寄せた。それから目を閉じて長く息を吐く。
 東堂さんが毎回するこの本格的に感じ始める準備みたいなしぐさが、好きで好きで仕方ない。めちゃくちゃかわいくて、いっぱいキスしたくなる。でも今日は体勢的にきついから、唇は諦めて耳に吸いついた。
「あっ」
 肩がびくついて、鬱陶しそうにゆるゆると頭を振られて唇が離れる。不満そうな顔をする東堂さんに謝って、中に挿れていた指を増やした。
「はぁ、はぁ……っあ、ぁ」
 中をゆっくり解している間に、東堂さんは壁に額をくっつけていた。さっきまで横を向いて頬をつけていたのに。これは東堂さんの癖のひとつで、気持ちよくなるといつも頭をゆるく振ってシーツで髪をざりざりこすってしまったりする。ベッドならともかく、こんな硬い壁じゃあ痛くしちゃってないか心配になって、思わずそこに手を伸ばして指先で撫でた。
「ん……」
 ぼんやりと目を開けた東堂さんが、壁から額を離してまた横を向いた。いつもと違って控えめなしぐさで指さすほうを見ると、いつの間にか浴槽のふちにゴムがひとつ、置いてあった。目の前の東堂さんに夢中で、ぜんぜん気づかなかった。
「準備いいなぁ」
 指を全部引き抜いて、それを手に取る。濡れた手じゃうまく開けられないかもしれないと思ったけど、よく見たら半分くらい開けられていた。はじめっからここで最後までする気満々で用意してたんだ、この人。
 手早く着けて、東堂さんの腰に手を伸ばす。すぐには挿れずにこすりつけると、もどかしそうに腰が揺れた。
「もう、いいから早く挿れろよ」
「オレのこすりつけるの好きなんじゃないの? さっきしてたじゃん」
 そう言うと、東堂さんは顔を真っ赤にして口ごもった。あんなに堂々とやってたのに、言われると恥ずかしいんだ。
「ッうるせーな! それ、は、胸だけでいいんだよ……」
「じゃあ、今度はオレがしてあげるね」
「っあぁ……!」